緊急性のある下痢
まず一番に判断してほしいのは緊急性があるのか、そうでないのか。
緊急性がある場合は夜間であれ、すぐにかかりつけの病院で診察してもらいましょう。
- 下痢をしていて明らかにぐったりしている場合。
- 中毒、アレルギー、人間の薬、異物、尖ったものを食べた場合。
- 大量の血便(鮮血、赤黒いタール状の便)の場合。
- 子犬、老犬で基礎体力が低い場合。
- ひどい嘔吐を伴っている場合。
- 一過性ではない場合。
上から順に緊急性があります。
当てはまる場合は放置する時間が長ければ命に関わってきます。
犬は小さくなればなるほど、脱水症状を起こすのが早いです。
子犬、普段から体力のない老犬、有病犬はしっかり観察してください。
原因@ 感染症
犬が下痢をする原因としてウイルスや細菌の感染症が原因の場合があります。
犬パルボウイルス感染症、犬ジステンパーウイルス感染症、コロナウイルス感染症。
対処法
犬を飼ったばっかりで下痢をしている場合は特に注意が必要です。
健康診断を受けるまでは絶対、他の犬と接触させないで下さい。
感染すると致死率は高いです。
これらの感染症はワクチン接種をしていると感染は防ぐことができますので、必ずワクチン接種は忘れずにしましょう。
原因A 食べ物
犬に与えてはいけない食べ物はいくつかあります。
ネギ類、チョコレート(カカオ)、ブドウ、アボカド、ナッツ類です。
これらを大量に摂取すると中毒症状を起こします。特に小型犬は小さいので中毒症状を起こす量は極めて少ない場合もあります。
家の中で犬を飼っていると初めのうちは思わないところで思わぬものを犬は食べます。
食事後の食卓の残り物など、目を離したすきに食べることが多いので注意が必要です。
また、玉ねぎが入ったスープなどでも中毒を起こす場合もあるので、気を付けて下さい。
対処法
食べ物が原因と疑われる時は食事を抜いて胃腸を休ませて下さい。この時お水は必ずすぐ飲めるところにおいてあげて絶やさないでください。
お水さえも吐く時はお水も引き上げ、獣医師の診察を受けましょう。
原因B 寄生虫
回虫、鉤虫、鞭虫、条虫、コクシジウム、寄生すると下痢を引き起こす寄生虫です。
これらが原因で下痢を引き起こしている場合は比較的元気で食欲がある場合が多いです。
対処法
犬を飼い始めた時はまず動物病院に行って健康診断を受けましょう。
受けている場合でも、散歩中に便を食べてしまったりして寄生する場合がありますので心配でしたら再度、便の検査を受けましょう。
また、これらの寄生虫は便と一緒に排泄され目に見えるものもあります。
普段から便を観察すること、あと行動としてお尻を地面に擦り付けて歩くなどの行動もたまに見られます。
下痢をしている時、病院で診察を受けるときは家で便を採取して持って行くと診察がスムーズに進みます。
原因C ストレス
犬が下痢をする原因の一つとして、ストレスがあります。
引っ越しをして環境が変わった。新しい家族が増えた。慣れてないトリミングに行った。
飼い主が長い間留守にしていた。などなど「いつもと違う環境」に感じるストレスは意外と大きいです。
対処法
明らかに原因がはっきりしている場合は様子を見ましょう。
ストレス軽減として、なるべく環境を前と似せる、長年使っていた毛布などを傍においてあげたり、トリミングの時に持たせる、落ち着くようにゲージにタオルをかけ暗くしてやる、など少しの事で軽減されることは多いと思います。
思っているより犬は不安を感じると体調に出るので注意が必要です。
原因D その他
下痢をしているけど何が原因か思いつかない場合、もしかしたら何か胃腸の疾患かもしれません。
ヘルニアなどで排泄力がない時に下痢のような便をすることもあります。
もしかしたらキッチンの揚げ物油を飲んでいることも、また購入したドックフードを餌としている場合フードが古くてコーティングしている油が酸化して、それが原因になっていることもあります。
女の子の場合、初めての月経を血便の下痢と勘違いする方もいます。
また敏感な犬は気温が下がったりすることで体が冷え、下痢を引き起こす事もあります。
対処法
気温の低下による体の冷えが原因の時は体に触れると小刻みに震えていることがあります。毛布などで暖かくしてあげて下さい。
口元をペチャペチャしていたりするときは何かを食べていたり、吐き気がある時だったりします。
思ってもいないものまで好奇心の大きい犬は口にすることがありますので目を離すときは注意が必要です。
病院に行く
下痢が原因で受診するときは必ず便を持参しましょう。
また、いつからか、回数、便の状態(水状、形はある、ゼリー状、色、透明、鮮血、赤黒い、など)
食べたもの、いつもと違うところ、などをしっかり把握していくと診察がスムーズに進みます。
まとめ
犬の下痢の原因と言ってもかなり多くの原因があります。
言葉を話せないかけがえのない愛犬に可哀そうな思いをさせないように大切なことは普段からしっかり観察してあげ、何か変化があったらすぐ気が付いてあげることが大切です。
観察のポイントとして成犬になったら栄養バランスの整ったドッグフードのみを食事と決めておけば変化があった時に原因がわかりやすいし、普段から腸内環境も整います。
また初めての犬を迎える方は必ず迎える前に肛門回りに汚れ、ただれがないか、目がいきいきしているかなどを観察してお迎えするといいでしょう。
また原因がわからない時に安易な考えで下痢止めを飲ましたりすると逆効果になる場合もあります。心配な場合は獣医師の診察を迷わず受けましょう。
夜間に急な下痢に遭遇することもあるので、夜間診察している病院も事前にいくつか調べておくと、焦らずに対処できますので事前に対策として準備しておきましょう。
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