愛犬の出産
人と違い、犬の出産の機会がある方はあまり多くはないのではないかと思います。
しかし、いざという時のために、今回は知っておいて損はない、「犬の出産」をテーマとし出産に必要なものから出産後の育て方、注意点などの基礎知識をまとめてお伝えします。
簡単にザックリ!犬の出産基礎知識
犬の妊娠から出産までの日数は「63日」と言われています。出産可能な年齢は生後9か月と1日以上とされています。
犬種にもよりますが、初産では平均6〜10匹を出産します。
出産のおしるしとして、通常38〜39℃の体温が1〜2℃低下します。
その後およそ24時間以内に出産が始まりますが、陣痛が始まる前に、トイレに何度も行ったり、タオルを掘って巣作りをしたりと愛犬が出産の準備に入ります。
陣痛後に、緑色のような粘液が出てくるのが犬の破水で、だいたい1時間で1匹目の子犬が羊膜に包まれて生まれてきます。
愛犬が羊膜をなめとり、子犬に産声を上げさせることができれば手を貸す必要はありませんが、放置するようであれば、へその緒を糸で縛り、消毒したハサミで切ってあげましょう。
その後、産湯やタオルで羊膜を取り除き、呼吸を開始させるために鼻を吸い取ってやりましょう。
それでも呼吸を始めない場合には、乱暴に聞こえますが逆さにして振ったりと刺激を与える必要があります。
緑色の粘液が2時間以上出続けているのに出産に至らない場合は、母子ともに危険が迫っている場合があります。すぐに動物病院に連れていきましょう。
緊急で帝王切開での出産になる可能性もあります。
生まれてきた子犬には、初めての母乳(最初の乳にはたくさんの栄養を含有)をしっかり飲ませることが大切です。
出産に必要なもの
ざっくりと手順が分かったところで、出産に当たり必要なものについての説明をします。
- 出産するための産室
- ペット用ヒーター(あると便利)
- 毛布やタオルケット
- 体温計
- 清潔なガーゼやタオル
- 消毒したハサミ
- 木綿の糸
- 洗面器
- はかりと小さな箱
- スポイト
出産するための産室は、犬の落ち着く場所にダンボールなどで囲いを作ります。
その中に、毛布やタオルケットを敷いてあげましょう。
生まれたての子犬は体温調整ができません。
夏でも室温を高めに保つことも大切で、ペット用のヒーターを用意すると、特に季節が冬の場合にはとても役に立ちます。
はかりと小さな箱は、生まれてきた子犬の体重を量るために使います。キッチン用のデジタルのものがとても便利です。
タオルを敷いた小さな箱(子犬が入る程度)を準備し、測りの上にのせて測定すると、安定しているため正確な数字を記録することができます。
子犬の体重の変化は、体の異常を見抜くデータとなるので(子犬時の10gの体重減少は危険な場合があります)、正確な数字を記録しておくことが大切です。
出産にかかる費用
動物病院を受診する回数が増えるため、出産にかかる医療費はかなりかさみます。
自宅で自然分娩する場合には、@に挙げたものを揃えて出産を迎え出産後にワクチンなどの諸経費が生まれた子犬の頭数分必要です。
ワクチンの費用は、地域や動物病院によって違いますのでかかりつけの動物病院で確認をしましょう。
破水後に生まれてこないなどのトラブルにより、病院での帝王切開になった場合は、10万前後の手術費用とレントゲンなどの料金がかかります。
自然分娩も帝王切開でも、妊娠前後にレントゲンにより出産頭数や自然分娩が可能かどうかを動物病院で確認をするほうが安全なため、この検査も必要経費に上乗せされます。
出産には10万円は最低でも必要になってきそうです。
いざ出産!
出産に至る兆候として、犬の体温が1℃〜2℃下がるということを覚えておきましょう。
愛犬の出産予定日が近づいて来たら、こまめに体温をはかり変化がないかを確認することが重要です。
体温が下がり陣痛が始まるといよいよ出産が迫っています。
1匹生まれると間隔があいて次の子犬が産まれてきます。
出産に関しての注意点
出産前後はレントゲン検査をし、何匹生まれてくる予定か、出産がきちんと終わっているかを確認してもらいましょう。
産道に子犬が詰まってしまっている場合や、胎盤が残っていることもあります。
母体も危険にさらされます。この検査は飼い主の重要な役割です。
自然分娩が可能な体かどうかのチェックもきちんとしておきましょう。
出産に関する悩み
室内犬では少ないですが、お庭で飼っている犬が妊娠していて驚いたという話はよく聞きます。
発情期には、数キロ離れたところからも雄犬は発情している雌犬が分かるといわれています。
望まない妊娠を避けるため、外で飼う場合や多頭飼いの場合には避妊手術をすることも考えていかなければなりません。
避妊手術に関しては犬の不妊手術を成功させるための知識7選と犬が発情して大暴れ!?発情期の対処方法を参考にしてください。
また、出産は無事に終わっても、生まれた子犬たちを生後2−3か月までは母犬と育てることが必要となってきます。子犬はミルクを飲ませたり、排泄を促したりととても手がかかります。
ましてや愛犬が育児放棄している場合には、なおさら手がかかります。そのお世話をする覚悟をもって出産させる必要があります。人間の子ども同様、子犬も勝手に大きくなるわけではありません。
命を育てる責任をもって、愛犬の体ををきちんと管理してあげる大切です。
まとめ
犬の出産の基礎知識と注意点をお伝えしてきました。これでいざという時に、少しは慌てずに対応することができるでしょう。
何度も言いますが、家の庭で飼っている場合などで予期せぬ妊娠が発覚することがよくあります。
子犬を譲るのか売るのか、血統書を付けるのかなど様々な問題も出てきます。
近年、妊娠したからといって犬を捨てるなど、無責任な飼い主が増えているため、尊い命が奪われています。
興味本位の交配は、犬にとってリスクがあるだけです。
生まれてきた子犬たちすべてを飼い育てることができるならばいいですが、多くの家庭ではすべての子犬を世話することは難しいでしょう。
人間の勝手な都合で振り回さないように、手術は費用も体にも負担がかかるため躊躇する飼い主もいます。
しかし、少しでも望まない妊娠の可能性がある場合には、命の重さと飼い主の責任をもち、きちんと判断してあげることで、悲しい思いをする犬も減っていくのではないでしょうか。
今回は愛犬との幸せな暮らしをしていくために必要な、犬の出産に関する知識をお伝えしました。
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